雲伯堺
比婆山

かれその神避りし伊弉那美の神は、出雲の国と伯伎の国の堺、比婆の山に葬りき…
古事記
島根県安来市伯太町にそびえる比婆山は、『古事記』に「出雲国と伯伎国の堺、比婆の山」と記された、伊邪那美命(イザナミノミコト)の御陵伝承地です。
山頂には比婆山久米神社奥宮と御神陵と伝わる古墳塚があり、古来より、安産祈願・子授け祈願の名所として受け継がれてきました。
周辺には約130万年前に形成された玄武岩や柱状節理、逆転磁気を記録した岩石、島根県指定天然記念物の陰陽竹など、神話・信仰・自然・地質が重なり合う独特の景観が残されています。
このサイトでは、島根県安来市の比婆山について、古事記の記述、比婆山久米神社、地質、歴史、見どころ、登山・参拝ルート、アクセス情報まで詳しく紹介します。
大自然が生み出した
七つの驚異的な奇跡
なぜ古代人は、この山に「日本を産んだ母神の姿」を見たのか?
130万年前の地球の記憶、世界的にも極めて珍しい特異な地質、ペトログリフ、不思議な植生…そして古事記の記述 —— すべての答えは、比婆山にあった。

プロローグ
島根県安来市伯太町。出雲と伯伎の国の堺に、ひっそりとたたずむこの山は、古事記が「日本を産んだ女神・イザナミの鎮まる地」と記した伝承の山です。
「その神避りし伊邪那美の神は、比婆の山に葬りき」— 古事記(712年)
しかしこの山の驚きは、神話だけではありません。
130万年前の溶岩湖が固結した世界的にも稀な柱状節理、今も岩の中に刻まれた逆転磁場の記憶、山腹を8kmにわたって取り巻く玄武岩の結界、異常なまでのストロンチウム濃度、自然界でも極めて珍しい現象を持つ植生——地球科学が積み重ねた研究が、古代人がこの山を聖地と呼んだ理由を、一つひとつ証明しつつあります。
このサイトを通じて、地球と神話が重なる比婆山の奇跡を、ぜひ感じてください。

柱状節理が織りなすその山容は、まるで古代出雲の龍蛇神の如し。
比婆山周辺には、約130万年前の火山活動によって生まれた玄武岩の柱状節理が各所に残されています。溶岩がゆっくりと冷え固まる際に生じた規則的な岩の柱は、場所によって向きを変えながら連なり、山肌に独特のうねりと迫力ある景観をつくり出しています。
出雲では古くから、海や水、生命の力と結び付く「龍蛇(りゅうじゃ)」への信仰が伝えられてきました。神在月には「龍蛇神」が神々の先導役として迎えられる伝承も残っています。
比婆山を取り巻くように連なる柱状節理。その姿を眺めていると、巨大な龍蛇が山を守るように横たわっているかのようにも見えます。
これはあくまで自然が生み出した地質景観ですが、古代の人々がこのような圧倒的な自然の造形に神聖さを感じたとしても、不思議ではありません。

神在月、八百万の神々は母神・伊邪那美命を偲び、出雲へ集うとも伝えられています
島根県立古代出雲歴史博物館では、神々が出雲に集う理由の一説として、「祖神イザナミへの孝行説」が紹介されています。伊邪那美命は国生み・神生みの母神であり、神々はその母神を偲び、孝行のために集うという考え方です。現代風にいえば、母神の法事のために集うようなもの、と説明されています。
佐太神社にも、旧暦十月に八百万の神々が母神・伊邪那美命を偲ぶため集うという伝承が残されています。
神在月は、単に全国の神々が出雲へ集まる月というだけでなく、神々が母神のもとへ帰り、その御霊を偲ぶ月とも考えられてきたのです。











