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地球深部からの贈り物

高濃度ストロンチウム

宇宙星雲の輝き

最新研究で比婆山一帯の岩石には、周辺の火山岩の2〜4倍という異常に高い濃度のストロンチウムが含まれていることが判明しました。なぜここだけこれほどまでに高いのか?偶然重なった比婆山一帯の直下で揃った三つの条件が原因と言われています。

ストロンチウム

地球の深さ100kmから届いた、異常なミネラル

ストロンチウムはカルシウムと性質が似たミネラルです。骨や歯に取り込まれやすく、骨の形成に重要な役割を果たすことから医学的にも注目されてきました。天然の岩石や地下水にも含まれており、この大地を通り抜けた水には、そのミネラルが溶け込んでいると考えられます。


古来、比婆山の山頂の湧き水(ちんちん井戸)を産湯に使うと健やかな子が育つと言い伝えられてきました。地球の深部から届いたミネラルが、この地に暮らす人々を育ててきたとしたら。比婆山は地球からの贈り物かもしれません。

比婆山登山口にある不動滝

​修行僧も訪れる比婆山不動滝

ストロンチウムとは何か

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2〜4倍

周辺の一般的な玄武岩(900〜1000μg/g)に対して比婆山の玄武岩は1700〜4100μg/g。通常の範囲をはるかに超えた異常値

110km

地下110km付近でフィリピン海プレートが沈み込み、そこから、ストロンチウムを含む流体が上昇してきている

3つの条件

深さ・プレートの角度・上昇流の位置、この三つの条件が比婆山周辺直下でだけ揃ったことで大地のミネラルが溶け出した

なぜここだけなのか

フィリピン海プレートがちょうど深さ100〜110kmで沈み込み、そこにアセノスフェアの上昇流(熱源)がぶつかっています。この熱によってローソン石・緑れん石というストロンチウムを含む鉱物が分解し、ストロンチウムが流体に溶け出して地表へと上昇してきました。


深さ・プレートの角度・上昇流の位置——この三つの条件が比婆山の真下でたまたま揃ったことが、この異常値の原因と考えられています。

この地下流体と地震の関係も指摘されています。

2000年 鳥取県西部地震
2026年 島根県東部地震

この地域の震源域と、地下から上昇してくる流体の分布域が一致していることが明らかになりました。130万年前に噴火した比婆山の地下では、今も地球が静かに動き続けています。

比婆山の形成
鋭い岩層

LITHOS掲載(2026年)

この発見も、島根大学名誉教授・澤田順弘先生による研究の成果です。ストロンチウム異常値の発見が、2026年、岩石学・地球化学分野のトップクラスの国際誌「LITHOS」に論文が掲載され、再び世界の注目を集めました。

参考文献・研究資料

1. 峠之内玄武岩の固結溶岩湖に関する研究

論文名
A solidified lava lake in an explosion crater within granitic basement, SW Japan

著者
Yoshihiro Sawada, Koji Uno, Tetsuya Sakai, Hironobu Hyodo

 

掲載誌
Bulletin of Volcanology
Vol. 85, Article 26

発表年
2023年

DOI
https://doi.org/10.1007/s00445-023-01634-3

研究概要

島根県安来市伯太町の峠之内玄武岩について、花崗岩基盤中に形成された爆裂火口を溶岩が満たし、そのまま固結した「固結溶岩湖」であることを地質学的に検討した研究です。溶岩湖は上部でおよそ340m×550mの規模を持ち、170m以上の深さに達すると推定されています。柱状節理の形態や方向、周辺岩石への熱的影響、古地磁気データなどから、溶岩湖の形成過程と冷却史が詳しく解析されています。

2. 伯太玄武岩の高ストロンチウム含有とマグマ成因に関する研究

論文名
Origin of Pleistocene Sr-rich Hakuta basalts, Shimane Prefecture, SW Japan

著者
Yoshihiro Sawada, Tetsuya Sakuyama, Tatsuki Tsujimori, Hirotsugu Nishido, Katsuyuki Yamashita, Syuhei Ohgo, Osamu Okano, Xiaoyu Zhang, Barry Roser

掲載誌
Lithos
Volumes 536–537, Article 108564

発表年
2026年

DOI
https://doi.org/10.1016/j.lithos.2026.108564

研究概要

安来市伯太町に分布する伯太玄武岩について、岩石学・鉱物化学・微量元素・Sr-Nd同位体・炭素同位体などを用いて、その特異なマグマの起源を研究した論文です。伯太玄武岩はストロンチウム(Sr)濃度が約1,700〜4,100 µg/gと非常に高いことが確認されており、一般的な火山フロント玄武岩とは異なる特徴を示します。研究では、沈み込むフィリピン海プレート由来の流体とマントルとの相互作用が、Srに富む玄武岩マグマの形成に深く関係している可能性が示されています。なお、本研究では伯太玄武岩を、峠之内玄武岩・比婆山玄武岩・上の台玄武岩などに区分して研究しています。

​雲伯堺
比婆山

大母神の坐所

本サイトでは、これらの学術研究によって確認された地質学的事実と、比婆山に伝わる古事記・信仰・地域伝承を区別しながら紹介しています。地質学的な年代、岩石の組成、柱状節理、古地磁気、ストロンチウム濃度などについては、上記の査読論文を主要な学術的根拠としています。一方、比婆山と伊邪那美命との関係や古代からの信仰については、『古事記』をはじめとする文献資料および地域に伝わる伝承に基づいて紹介しています。

​サイト運営者情報

比婆山観光案内所(上の台緑の村)〒692-0215 島根県安来市伯太町赤屋 上の台緑の村    お問合せ:0854-38-0022 

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