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​峠之内玄武岩溶岩湖

(たわのうちげんぶがんようがんこ)

- 世界唯一の報告事例:花崗岩固結溶岩湖 -

世界が「あり得ない」と驚いた場所

島根県安来市伯太町。一見すると静かな里山の奥に、世界中の地質学者を驚かせた地球の秘密が眠っています。それは「花崗岩の大地の中に生まれた、固まった溶岩湖」。130万年前、この大地の下で起きた現象は、今もこの場所でしか目にすることができません。

比婆山・峠之内玄武岩溶岩湖
風景写真家

世界の常識 vs 比婆山の現実

世界の常識

溶岩湖は火山の中にだけ存在する。ハワイ・キラウエアなど、世界にわずか8か所。すべて活火山の火口にあります。

比婆山の現実

火山でも何でもない、ふつうの花崗岩の大地の中に溶岩湖ができました。花崗岩基盤の溶岩湖は、世界に報告例がありません。

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しかも、世界の溶岩湖は活動が終わると溶岩が地下へ逆流し、断面を見ることはほとんどできません。比婆山では採石によって偶然にも地球の内部が露出し、130万年前の溶岩湖の断面が、幅150m・高さ120m以上にわたって、今も目の前に広がっています。

苔むした木のクローズアップ

130万年前

形成。恐竜が絶滅し、さらに6500万年以上後の出来事

170m以上

溶岩湖の厚さ。約半分の深さが、地中に眠る

1,150℃

噴火時の温度。たった50℃冷えるまでに20年以上

なぜここにできたのか(地質学的見地)

地球の深さ100kmからのメッセージ

約130万年前、地下100〜110kmのマントルで発生した玄武岩マグマが、花崗岩の地盤の割れ目を割って急速に上昇しました。地表近くでマグマ水蒸気爆発が起こり、できた窪地に溶岩が流れ込んで溶岩湖になったと考えられています。
サラサラとした玄武岩質の溶岩だったからこそ、花崗岩の割れ目に入り込み、窪地を満たすことができました。そして硬く冷え固まった玄武岩は、その後130万年かけて周囲の花崗岩が浸食される中でも残り続け、今に至ります。この発見をしたのは、島根大学名誉教授・澤田順弘先生。長年にわたり山陰地方の地質を研究してきた火山学の専門家です。
「花崗岩の地盤の中に溶岩湖ができるはずがない」——それが世界の地質学の常識でした。しかし澤田先生は比婆山の採石場跡地で、その「あり得ない」現象が実際に起きていたことを科学的に証明しました。
この成果は世界最高峰の火山学術誌に掲載され、世界中の研究者から驚きと注目をもって迎えられることになります。

比婆山・形成
火山噴火の輝き

01.

国際誌掲載

Bulletin of Volcanology(Springer-Nature)

2023年掲載

02.

国際学会招待

AGU(アメリカ地球物理学連合)招待講演

03.

LITOS掲載

岩石学・地球化学分野トップクラスの国際誌LITOSに掲載

​2026掲載

世界で証明された、確かな理由

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足元の地下には、まだ50m以上の溶岩湖が続く

比婆山・上ノ代には、この溶岩湖だけでなく、130万年前の地球の記憶を留めた逆転磁気、地球の深部から届いた異常なミネラル、そして古事記が記したイザナミノミコトの伝承まで、地質と神話が幾重にも重なっています。

参考文献・研究資料

1. 峠之内玄武岩の固結溶岩湖に関する研究

論文名
A solidified lava lake in an explosion crater within granitic basement, SW Japan

著者
Yoshihiro Sawada, Koji Uno, Tetsuya Sakai, Hironobu Hyodo

 

掲載誌
Bulletin of Volcanology
Vol. 85, Article 26

発表年
2023年

DOI
https://doi.org/10.1007/s00445-023-01634-3

研究概要

島根県安来市伯太町の峠之内玄武岩について、花崗岩基盤中に形成された爆裂火口を溶岩が満たし、そのまま固結した「固結溶岩湖」であることを地質学的に検討した研究です。溶岩湖は上部でおよそ340m×550mの規模を持ち、170m以上の深さに達すると推定されています。柱状節理の形態や方向、周辺岩石への熱的影響、古地磁気データなどから、溶岩湖の形成過程と冷却史が詳しく解析されています。

2. 伯太玄武岩の高ストロンチウム含有とマグマ成因に関する研究

論文名
Origin of Pleistocene Sr-rich Hakuta basalts, Shimane Prefecture, SW Japan

著者
Yoshihiro Sawada, Tetsuya Sakuyama, Tatsuki Tsujimori, Hirotsugu Nishido, Katsuyuki Yamashita, Syuhei Ohgo, Osamu Okano, Xiaoyu Zhang, Barry Roser

掲載誌
Lithos
Volumes 536–537, Article 108564

発表年
2026年

DOI
https://doi.org/10.1016/j.lithos.2026.108564

研究概要

安来市伯太町に分布する伯太玄武岩について、岩石学・鉱物化学・微量元素・Sr-Nd同位体・炭素同位体などを用いて、その特異なマグマの起源を研究した論文です。伯太玄武岩はストロンチウム(Sr)濃度が約1,700〜4,100 µg/gと非常に高いことが確認されており、一般的な火山フロント玄武岩とは異なる特徴を示します。研究では、沈み込むフィリピン海プレート由来の流体とマントルとの相互作用が、Srに富む玄武岩マグマの形成に深く関係している可能性が示されています。なお、本研究では伯太玄武岩を、峠之内玄武岩・比婆山玄武岩・上の台玄武岩などに区分して研究しています。

​雲伯堺
比婆山

大母神の坐所

本サイトでは、これらの学術研究によって確認された地質学的事実と、比婆山に伝わる古事記・信仰・地域伝承を区別しながら紹介しています。地質学的な年代、岩石の組成、柱状節理、古地磁気、ストロンチウム濃度などについては、上記の査読論文を主要な学術的根拠としています。一方、比婆山と伊邪那美命との関係や古代からの信仰については、『古事記』をはじめとする文献資料および地域に伝わる伝承に基づいて紹介しています。

​サイト運営者情報

比婆山観光案内所(上の台緑の村)〒692-0215 島根県安来市伯太町赤屋 上の台緑の村    お問合せ:0854-38-0022 

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